2015年4月24日金曜日

弁当箱の思い出

柴田慶喜さんのわっぱ弁当を使うようになったのは、主人と結婚してすぐのころだった。
学校で講師をしていた頃だったので、時間が不定期なことが多くよくお弁当を作っていた。料理はできないながらも必死でなんとか美味しいお弁当にしたいといつのそのことばかり考えていたなあ。どうせなら入れる器もおいしく食べれて美しいものがいいと探していたら、このお弁当箱に出会ってしまったのだ。
その当時は一つ7000円くらいだった。わっぱ弁当はいろいろなものがあるけれど、大体のものはウレタン塗装がしてあったり、何か加工されているものが多く、柴田さんのように木地のまんまの器(白木)は探してもあまり見つからなかった。
この秋田杉のお弁当箱のいいところは何より、ごはんの水分を丁度よく引き受けてくれるところ。とにかく冷めてもごはんがおいしい。そしてこのシンプルな小判のかたちも食べやすく扱いもしやすい。
訳あって主人のお仕事のお仲間の分までお弁当を作るようになった時、それなら!と少しずつこのわっぱ弁当箱を買い足して今の数(7つ)になったわけなのだが。

この弁当箱、こよなく愛していたのでいつか作者に会ってみたいと思っていた時に日本橋の三越で催事をやっていると聞きつけていそいそと出かけて行った思い出がある。
催事場は小さなコーナーだったけれど、たまたまその日「柴田慶喜」さんにお会いできたのだ。思っていたよりも小柄な可愛らしいおじいちゃんで、でもそのなんとも言えない柔らかいながらも凛とした職人の空気が漂う不思議な空気感がある方だった。
深みのある人というのは会うだけで何だか感動してしまう。

そして何かを買う訳でもない私にもそつなくおべんとうばこのことを語ってくれて本当に嬉しかったのを覚えている。この時を経て柴田さんのお人柄にもすっかり惚れ込んでしまって、お弁当箱に限ってはこれ。となっている訳なのだ。

秋田の本店に漆塗りをお願いしますと連絡するといつも決まって同じお姉さんが対応してくれる。その柔らかな温かみのある秋田弁がまたなんとも心地よく、大切に使っているお弁当箱にお金をかけて修繕することもまた一つここに繋がりができるようで嬉しくなる。にっぽんの職人の手仕事の技はほんとうにきめ細やかでほんものを感じさせてくれる。もうしっかりと次世代へ(息子さんの代へ)引き継がれているようだけれど、新たな風をいれながらもしっかりと地に根を張って存在しているところはさすがだなあと思う。

柴田慶喜商店 http://magewappa.com/allproducts/shiraki




0 件のコメント:

コメントを投稿